もう悩まない!会社の人間関係

クライマーズ・ハイに見る人間関係

横山秀夫さんの小説「クライマーズ・ハイ」は、1985年の日航機墜落事故を題材にした小説です。主人公の悠木は地方新聞社で働くベテラン記者であり、日航機墜落事故に関する一連の記事の責任者を命じられます。この小説の醍醐味のひとつは、社内の人間関係の複雑さにあります。

 

主人公が勤めている地方新聞社の中の人間関係が、まあ酷いのです。稀にみる劣悪な環境といってもよいでしょう。社内には、出世欲、個人的感情、対立、愛憎、抗争など、どろどろした感情が渦巻いています。敵ばかりというわけではなく、もちろん仲間もいるのですが、仲間がいることでかえってややこしい人間関係の軋轢の中にひっぱり込まれてしまうこともあります。主人公は職場の中で散々辛い体験をします。

 

「クライマーズ・ハイ」には、地方新聞社という職場にはびこる険悪かつ緊迫した空気が、臨場感をもって余すところなく描かれています。戦場のようなゴタゴタの中で仕事をする主人公。同じ職場の人間なのに、いいえ、同じ職場の人間だからなのかもしれませんが、こんなにも露骨に悪意を伝えたり、なんとしてでも相手の足を引っ張ろうとしたりすることが実際にあるのかと、その有様は目を見張るばかりです。職場の人間関係がうまくいっていなかった私は感情移入して読んだのですが、それにしても酷い人間関係です。私だったらこんな環境には耐えられず、すぐに辞めてしまうかもしれません。小説を読んでいるだけで、息もつまりそうになります。それほどリアルなのです。

 

この作品はフィクションです。実際に起きたことが忠実に述べられているわけではありません。しかし、作者はもともと新聞記者として12年間勤めた経験があり、その経験が大いに投影されていることは十分考えられます。人間関係に悩んでいる方、ぜひ「クライマーズ・ハイ」を読んでみてください。読書する時間のない人には、映画もあります。週末にでもDVDをレンタルしてみてはいかがでしょうか。作品自体が面白いだけではなく、自分をとりまく職場の人間関係について見つめなおすきっかけとなりますよ。世の中にはもっと熾烈な人間関係の中で働いている人がいるのだとわかり、自分も挫けてばかりいられない、という気持ちになります。また、主人公以外の登場人物にもそれぞれの事情があり、主人公を苦しめたり傷つけたりするにもそれなりの理由があることもしっかり描かれていますので、他人の気持ちを察する訓練になるかもしれません。

 

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